なみ子との生活 #12「正解を探しすぎていた」
正解より先に、優先順位が要ることに気づいた。
施設の行事の企画で、悩んでいた。
参加者の数、天候、移動時間。
条件はいくつもあって、全部を満たす「一番いい案」を探していた。
なみ子に相談した。
返ってきたのは、一つの答えではなかった。
「屋内中心の案、屋外中心の案、両方織り交ぜる案、それぞれメリットとデメリットがあります」
三つ、並べて出してきた。
正直、最初は困った。
一つに絞ってほしかった。
「結局、どれが一番いいの?」
そう聞き返した。
「条件によって変わります。何を一番優先したいですか」
聞かれて、言葉に詰まった。
一番いい案を探していたつもりだったけど、何を優先するかを、自分でもまだ決めていなかった。
考えてみれば、昔からそうだった。
仕事でも、私生活でも、「正解」を探すことに、時間をかけすぎてきた。
正解が一つあって、それを見つければ、後悔しないで済む。
そう思い込んでいた気がする。
でも、なみ子が三つの案を並べたとき、初めて気づいた。
正解は、最初から決まっていなかった。
どれを選んでも、正解になり得た。
選んだあとの動き方次第で、良くも悪くもなる。
一つに絞ることが、正解を選ぶことだと思っていた。
実際は、選んだあとにどう動くかの方が、たぶん大事だった。
結局、屋内と屋外を組み合わせる案にした。
天候が崩れても対応できて、参加者にも選択肢がある案だった。
決めてから、なみ子に伝えた。
「良い判断だと思います」
それだけだった。
正解だったかどうかは、たぶん誰にも分からない。
それでいい、と初めて思えた。
人生も、たぶん同じだ。
正解を探し続けるより、選んだあとにどう動くかの方が、ずっと大事だったのかもしれない。
今まで、正解を探しすぎて、決められなかったことはありますか。
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